
大江戸菓子匠 銀座松崎煎餅 2/4回目
前篇は、銀座で一世紀以上にわたって繁盛してきた「松崎煎餅」のこれまでをご紹介しましたが、今回は次期当主の松崎宗平氏の「新たなステップ」となる世田谷松陰神社への出店について取り上げます。
これまで「松崎煎餅」はギフト商品の定番というブランドを確立してきました。しかし4月9日にオープンした松陰神社店は、ランチも出るようなイートイン中心。

オンラインでの小売りが普及した現代、「店舗での経験」の価値を見つめなおした結果、「町のお煎餅屋さん」という創業当初への原点回帰の必要性を感じた、と松崎宗平氏は熱く語ります。
「町のお煎餅屋さん」であるためには、地域に密着しなければならない。そこで着目したのが、子育て世帯が多く住まう松陰神社という町でした。お店の立地には強いこだわりがあり、代官山、中目黒、吉祥寺、六本木、蔵前、谷中など、時間をかけて場所を探したそうなのですが、「地域のお子さんたちと一緒にお店も育っていける」ということで松陰神社に決めたとのこと。
「B to Cのtoの部分を新しくしていきたい」。そう語る次期当主の言葉には、伝統の味や技術を守りながら、お客さんとの関係づくりに丁寧に向き合っていきたいという想いが凝縮されています。

さらに、松陰神社店では、現在の「松崎煎餅」のロゴとは違った「松の葉」のロゴが採用されています。それは2007年のブランドリメイク以前に使われていたものとのこと。新しいステップでありながら、原点回帰であるというこの試みを象徴しています。

銀座という地域に密着して長い歴史を紡いできた老舗が、新しいステップでもあり原点回帰でもある試みに踏み出す。地域と時代に合わせながら、お客さんを大事にする方法を模索し続ける柔軟さが、これからの新しい伝統を作り出していくのでしょう。
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大江戸菓子匠 銀座松崎煎餅
東京都中央区銀座4-3-11 松崎ビル 1F本店、2F喫茶(並木通り 4丁目)




















