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「伝統を磨き上げる」。老舗土佐料理店の社長にきく、名店100年の歴史 - 祢保希

2016.05.24 update

祢保希 4/4回目

今回も、前回に引き続き「祢保希(ねぼけ)」の竹内太一(たけうちたいち)社長にご登場いただき、100年の歴史をもつ「祢保希」の歴史についてお話を伺いました。

1917年に高知で創業したのは、竹内社長のお祖父様。当時は料亭として営業していましたが、第二次大戦後は料亭が流行らなくなり、サンスクリット語で「幸せ」を意味する「祢保希」という店名で料理店へと軸足を変更。


三代目となる竹内社長は最初は板前として入社、ご本人曰く「板前の才能がなかったから(笑)」、店長に就任。ここで「板前の仕事」を体験したことで、色々な魚を知り、それぞれの魚の状態の良し悪しを知ったことで、仕入れの大切さを学んだことは大きいとおっしゃいます。竹内社長の「美味しい魚を安定して供給する」ことへの「こだわり」の原点が垣間見えた瞬間でした。

竹内社長は、美味しい食材を安定的に仕入れるために流通から水産資源の管理まで視野を広げ、現在では(社)海の幸を未来に残す会の代表理事として水産資源管理の国際会議にも参加しています。グローバルな問題に取り組む一方で、土佐料理の原点である高知県の自然管理にも関わっています。

第1回で内田さんがオススメしていた「承平」の土佐鶴酒造は、清流「安田川」の水で美味しいお酒を作っているのですが、土佐は水自慢でもあります。美味しいお酒をつくるのには美味しい水が必要になるのですが、天然鮎が獲れるような清流が土佐にはたくさんあります。


「森は海の恋人」という表現があるように、川や海の水産資源を守るためには、森の管理も重要になってきます。「祢保希」は、他社と共同で「協働の森づくり事業」パートナーズ協定を高知県と締結。四万十川に並ぶ清流「仁淀川」の流域を「鮎を育む森」と呼んで整備しているそうです。


内田さんのような接客担当者も、土佐の酒蔵や森に新人研修で訪れ、土佐料理の精神を体験してくるとのこと。仕入れた食材が「土佐料理」という文化に磨き上げられて提供されるように、内田さんもその精神を学んでいるのだと言えるでしょう。

「地方の伝統を受け継ぎながら、変化を続ける時代に対して自店のスタンダードに磨き上げる」竹内社長はこう語っていました。


「祢保希」には外国人のお客さんからも好評を得ているそうなのですが、単なる伝統でも、奇抜なだけの新奇さでもなく、「伝統を磨き上げること」、これこそがローカルな伝統をグローバルに通用させる秘訣なのかも知れません。

今回は、4回連続で「祢保希」で伺ったお話をお届けしました。

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祢保希
東京都中央区銀座7-6-8 (西五番街 7丁目)